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地域住民が主体となって経済の循環を作り出す
2012年02月08日
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住民が安心して暮らし続けるためには、住んでいる地域の産業活動が継続し、雇用と所得の再生産が行われなくてはなりません。本社機能がない大企業や大規模ショッピングセンターを誘致しても、利益は本社に流れていくため、地元に還元されるものは限定的です。また、雇用が新たに生み出されるわけではなく、失われた雇用が一部振り替わるだけです。
地域経済の循環を生み出す主体は中小企業・小規模事業者、農林水産業、地域金融機関、地方自治体です。地方自治体は憲法と地方自治法を根拠とする法的権限と財源を有しており、これらを背景に地域独自の事情に合わせた産業政策を行います。ただし、産業政策をビジョンだけにとどめるのでは意味がありませんから、具体的に実施するための仕掛けが必要です。
たとえば、中小企業振興基本条例などもその一つです。しかも行政が一方的に条例を制定するのではなく、中小企業者や関連団体、地域金融機関、住民などが条例制定に向けて話し合いを重ね、協同で策定していくことがポイントです。行政と住民が双方向で話し合いを繰り返すことでお互いの事情を理解し合い、目的に向かって意見のすり合わせをしていくプロセスが、「県にお任せ」とか「陳情型」ではない関係を構築していくことにつながります。
「千葉県中小企業振興条例」の基になった「ちば中小企業元気戦略」の中で(4頁)、中小企業の活性化は当事者とともに検討していくべきであると述べた後、「問題は「現場」で起こっており、その解決策もまた「現場」を踏まえて立案されることが重要」だとしています。
千葉県以外でも墨田区や帯広市、吹田市など、実際に行政と中小企業者などがともに条例制定を行った地域では、「中小企業団体は県民のことよりも業界の利益ばかりを主張する」といったイメージが覆され、行政担当者や参加住民の間で共感が広がったそうです。条例制定までの過程で、より良い地域づくりを目指して行政と住民が双方向で検討を重ねていくという土壌が生まれたことの効果が大きく、将来につながるものでしょう。
今治市では、平成17年「食料の安全性と安定供給体制を確立する都市宣言」を行い、翌年には「今治市食と農のまちづくり条例」を制定しています。給食はまず今治産の食材、なければ近隣又は県内産、それがなければ四国内、西日本、国産というように地元に近いところから食材を調達しています。
山林資源を活用した地域づくりを行なう高知県馬路村、徳島県上勝町、住民の手で合併後の新しい村づくりを進める長野県阿智村、一家一品運動で全国に先駆けて有機農業を展開した宮崎県綾町、循環型まちづくりの岩手県紫波町など、行政にお任せではなく、地域で暮らす人一人が神輿を担ぐことにより、自治体と協働して住民自治力を高めている地域はたくさんあります。
1947年に制定された現行の地方自治法は、団体自治と住民自治を車の両輪としています。団体自治とは、地方自治体が国の関与から自律して、自主的な立法権、財政権、行政権を持つことです。そして、団体自治の方向性を最終的に決定するのは、主権者である住民であると位置づけています。私たち一人ひとりが地域で安心して暮らし続けるため、住民力が問われる場面が多くなりそうです。住民自治の意味をあらためて噛みしめたいと思います。
内藤眞弓(ないとう・まゆみ)
ファイナンシャルプランナー・CFP認定者。
大手生命保険会社勤務の後、FPとして独立。現在は金融機関に属さない独立系FP会社「生活設計塾クルー」のメンバーとして、生活設計や資金運用、保障設計などの相談業務、各種団体のセミナーや講演を行う。日経ビジネスオンライン『戦略的家計運営術』、NIKKEI NET『医療保険特集』連載中。生活設計塾クルーでは毎月マネーセミナーを行っている。
詳細はHPで。個人の活動としては『日本の医療を守る市民の会』で毎月勉強会を開催中。HPはこちら。
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